女子プロゴルファーを目指している方にも読んでほしいブログ

日本人ゴルファーのスイングに関する個人的意見を綴らせていただきます。

第4回 タイガー・ウッズと世界基準のスイング

タイガー・ウッズと世界基準のスイング

 私の個人的な意見としてはタイガー・ウッズのスイングで現在の世界基準のスイングはほぼ完成した、と思っています。

 レッドベターの教え子の、ニック・ファルドやニック・プライスのスイングを、一生懸命に研究している時は、トップで立ってしまった(垂直方向)シャフトの角度を「アドレス時のシャフトの角度に戻す方法」が私にはさっぱり分からなかったのです。当時の私にはアドレス時のシャフトの角度に戻す」意識すらなかったのかもしれません。

 特にファルドは、コックを早めにして、現在の主流からするとクラブを垂直方向に立てながら上げていきます。立てたシャフトをアドレス時の角度に戻す為には、切り返し後にはシャフトを寝かせる必要があるわけですが(つまりシャローイングは既にやっていたわけです。)、ファルドとプライスはループをさせてシャフトを寝かせる方法をとっていたのですが、当時の私には、このループの動きも意味も理解ができませんでした。

 1994年頃、尾崎直道プロは、当時最強だったプライスを真似てループをさせようと試していました。まだ日本にはシャフトプレーンという概念が一般的ではなかった時代でした。

ベン・ホーガンの低すぎるトップ

 これは私の推測ですが、ベン・ホーガンは「アドレス時のシャフトの角度に戻す方法」として、あの低すぎるトップを採用していたのではないでしょうか。しかし、あの低すぎるトップには欠点がある為、ホーガン以外の人はやらないし、やっても上手くいかないと思います。

タイガー・ウッズのスイング

 そして、いよいよタイガー・ウッズの登場となるわけですが、1997年にマスターズに勝った時のスイングでは「アドレス時のシャフトの角度に戻す方法」は、やはり私には分かりませんでした。

 1997年当時のタイガーのバックスイングは、アップライト気味でその高いトップから、特にシャフトを寝かせる工夫をすることもなく、そのまま一直線にインパクトまで振ってしまうのです。ですからシャフトはアドレス時に比べて立った状態でインパクトしていました。タイガーですら、当時は「アドレス時のシャフトの角度に戻す」意識は特になかったのかもしれません。

タイガーのスイング改造

 当時のタイガーのコーチだったのはブッチ・ハーモンですが、ブッチはタイガーが1997年のマスターズに勝った直後に「今週のマスターズの優勝はたまたま上手くいったにすぎない。これから2年かけてタイガーのスイングを改造する。」と言ったのです。

 すると、その後、タイガーのトップは徐々に低くなり、さらに切り返し直後の早い段階でシャフトは寝るようになり、そのままアドレス時のシャフトと近い角度に戻って行くようになったのです。シャフトの傾きはアドレス時とインパクト時で同一に近くなり、インパクトで手の位置もかなり低くなりました。このスイングを見て、やっと私にも「アドレス時の角度に戻す方法」が分かったような気がしました。そして、タイガーのこのスイングが完成したのが、タイガーが最強の2000年だと思います。

 ベン・ホーガンがメジャーに3連勝した1953年から数えて約50年。この50年間の進化でゴルフスイングの真理はほとんど解き明かされたと思います。ですから、タイガーの、この時のスイングの完成で、現在の世界基準のスイングは出来上がったと言って良いと思っています。

 この50年の進化に比べれば、「地面反力」や「シャローイング」等の最新理論は些細なことに過ぎません。やりたい人がやれば良いだけのレベルのものだと思っています。

 

 次回は「世界基準のスイングの詳細」について書きたいと思います。