第5回 究極のインパクトとは?
究極のインパクトとは?
上の図は第1回で載せたものですが、ネリー・コルダと脇元華プロをモデルにしたアイアンショットのインパクトの瞬間です。両者を比べてみると、ネリー・コルダに比べて脇元プロは①右ひじが曲がりすぎています。そしてその原因となっているのが②肩が開きすぎている事と③腰が開きすぎている事です。
以上の3点がインパクトの瞬間における両者の大きな差です。
究極のインパクト
では、なぜネリー・コルダのインパクトの形が世界基準で脇元プロのインパクトの形ではダメなのでしょうか?
まず、「究極のインパクト」と言うと、どんなものを想像されるでしょうか?
私の考える究極のインパクトとは言葉にすると非常に単純で陳腐なものです。それは、アドレスで構えたクラブの位置にインパクトで再度クラブを同じ位置に戻すことです。シャフトの傾きもフェースの向きもアドレスとインパクトで全く同じにすることが出来れば、ナイスショットにならないわけがありません。当たり前の事でしょうか?ただし、言葉にすると単純で陳腐ですが、ハードルはかなり高いものです。
この究極のインパクトを実行できたのは、私の知る限りはニック・プライスだけです。全英の時のプライスのスイングを見た時、手が低く下りすぎてダフってしまうのではないかと怖いくらいでした。
シャフト1~2本分はずれるもの
ただし、普通は(タイガー・ウッズであっても)シャフト1~2本分くらいは上方にずれるものです。しかし、これはゴルフスイングのメカニズム上、仕方のない事です。ただし、タイガーでもそうしたように、究極のインパクトになるべく近づけるようにしなければなりません。そして、その為には、当然、手の位置もなるべく低い位置でインパクトしなければなりません。
しかし、脇元プロのように右ひじを大きく曲げてしまっては、ただでさえ上方に持ち上がりやすい手元が、さらに上方に持ち上がってしまいます。
なぜ、右ひじが曲がりすぎてしまうのか?
ではなぜ、右ひじが曲がりすぎてしまうのか?原因は2つ考えられます。
1つ目は「ボディーターンの誤解」によるものです。「ボディーターン=腕や手を使わずに体の回転だけでスイングする。」という誤解です。これを真正直に実行してしまうと、体(腰と肩)が腕を後方に置いてきぼりにして回転することになり、インパクトで腰と肩が開きすぎた態勢になり、右ひじを大きく曲げざるをえなくなってしまうのです。
2つ目は飛ばそうとする意識が強すぎるという事です。飛ばそうとする意識が強すぎると、どうしても体を目一杯使おうとしてしまい、体だけを回転させてしまいます。スイング中は体と腕のどちらかが勝ちすぎてはいけないのです。
腕を正しく使う
そして、第3回でも書きましたが、飛距離とコントロールを両立させるためには、腕の動きは必要不可欠です。レッドベターのご指摘の通り右を正しく使えば球は曲がりません。そして、パワーは右腕と体の右サイドからも生まれるのです。
理想のインパクトの形
インパクトで肩の向きは、ほんのわずかにオープンになる(左を向く)だけです。先ほども言ったように肩の向きがオープンになりすぎると右ひじが曲がりすぎてしまいます。だからと言って完全にスクエア(飛球線と平行)だと、ゴルフのグリップの性質上(左手が上を握り、右手が下を握る)インパクトで体と腕が窮屈になってしまいます。肩の向きはわずかにオープンというあいまいな表現しかできませんが、右腕が伸びて(厳密には伸び切る寸前)、両腕にしっかりと力が入る態勢をとれば、肩がどれくらいオープンになるのがベストなのかが分かると思います。
腰の開き具合(左を向く度合い)は肩の開き具合より当然ですが大きくなります。左脚にしっかりと体重が乗り、右足はかかとがわずかに浮く程度、そして頭の位置がビハインドザボールになっている、このような態勢がとれていれば腰の開き具合は適正です。そして、胸がボールに向いていることも重要です。
次回は「究極のインパクトの為のトップの位置」について書いてみたいと思います。