第17回 アイアンのライ角をアップライにする?
アイアンのライ角をアップライにする?
アドレス時のクラブ位置を再現するのであれば、
インパクトのライ角に合わせてアイアンを調整すれば、右ひじを曲げてシャフトが立った状態でインパクトしても良いのではないか?と思う人もいるかと思います。実はその実験も以前やったことがあります。
実験した当時、私は手がかなり浮いてインパクトしていたので、調整してくれる工房を探して、アイアンのライ角を無理やり4度もアップライにしてもらいました。(普通は4度も曲げてはいけません。折れます。自分でやったら折れました。)
しかし、お金をかけた甲斐もなく、結果は散々でした。
まず、構えた時の違和感が半端ではありません。トウ側が浮きまくって、クラブの座りが悪く、フェースがどこを向いているのか分かりません。
構わず打ってみると、練習場の左のネットに一直線に飛んでいきました。結局いろいろ試してみましたが、標準のライ角のアイアンの方がよっぽどましでした。
駄目だった理由は
まず、ライ角をアップライにしてしまうと重心の位置が変わってしまいます。重心距離が長くなってしまうのです。これでは、設計通りの性能になりません。振り心地も変わっていまいます。
そして、ライ角とロフト角は密接に関係していて、単純にライ角をアップライにしただけでは、フェースが極端に左を向いてしまうのです。
もし、メーカーが本気で「極端なアップライなライ角のアイアン」を一から設計して実験、試打を繰り返して作れば違った結果になるのかもしれませんが、現在の常識のまま、ただ単純にライ角をアップライにしただけでは、この問題は解決できないでしょう。もしかしたら、構え方や打ち方も変えなければならなくなるかもしれません。ただし、そんな事は誰もしないと思います。(ワンレングスのアイアンが結局、流行らなかったのは同じ理由だと思います。)
クラブのライ角が60度前後に設計されているのは、偶然ではなく、何十年もの経験が蓄積された結果だということです。現在のライ角がクラブの性能を一番発揮できるように設計されているという事です。
結局、クラブは設計された通りに打つのが最高であり、唯一の方法。というのが私の結論です。つまり、
クラブのライ角通りにインパクトできるように努力する。しかないという事です。
ですから、フィッティングで極端なライ角を勧められても1度くらいにとどめておかなければなりません。
次回は「ダウンスイングの始動のタイミング」について書いてみたいと思います。