第19回 ドライバーの飛距離について考える
ドライバーの飛距離について考える
稲森佑貴プロはドライバーの平均飛距離263.8ヤードでドライビングディスタンスは108位です。ところがフェアウェイキープ率は7年連続1位で、日本一曲がらない選手です。その稲森プロが先日、「ACNチャンピオンシップ」で優勝しました。
また3月の「Tポイント×ENEOSゴルフトーナメント」では、青木 瀬令奈プロが優勝しました。この大会で青木プロのドライバーの飛距離は平均214ヤードでした。この飛距離は予選を通過した選手の中で54人中54番目、つまり一番飛ばない選手が優勝したのです。ちなみに、青木プロはアイアンを7番からしか入れていません。
一方で、30歳の幡地隆寛プロは平均飛距離312.5ヤードでドライビングディスタンスは5位です。稲森 佑貴プロとの差は約50ヤードです。ちなみに、9月に行われたドラコン大会では350.8ヤードを飛ばし、河本力プロを抑えて1位でした。日本オープンでも同組の石川遼プロを必ずアウトドライブしていました。
しかし、幡地プロはレギュラーツアーでまだ優勝がありません。
ゴルフは飛距離が大切なのか、正確さが大切なのか?
稲森プロと青木プロの優勝、幡地プロの未勝利には考えさせられるものがあります。ゴルフの永遠のテーマである
「飛距離」なのか「正確さ」なのかという事です。
ポテンシャル以上の飛距離
私は自分自身のポテンシャル以上の飛距離」を求めてはいけない。と思っています。 ポテンシャルとは身長・体重・筋力・・・等を含めた、本来その人が持っているパワーという事です。
ドライバーを無理せず気持ち良く振った時に230ヤード真っすぐ飛ぶ人は、それ以上の飛距離を求めてはいけないのです。ドライバーを14回打つ機会があったら、14回全て230ヤードを真っすぐ飛ばす事が大切なのです。力いっぱい振ってたまに250ヤード飛ばしてみたり、曲げてしまって210ヤードしか飛ばない事もある。そういったゴルフでは試合に勝つことは出来ないのです。
ゾーン
よくゾーンに入るという言い方をしますが、それは、自分だけの世界に入ってしまう事です。
そしてその為には、常に淡々と同じことを繰り返す事、なるべく感情の起伏の少ないプレーをする事が必要です。
常に、同じルーティーン、同じリズム、同じ精神状態。
ドライバーもアイアンも常に同じ感覚、同じリズムで振る。
史上最強の女子プロゴルファー「アニカ・ソレンスタム」のようにいつでも同じように淡々とプレーする。
それが勝つゴルフです。
そして、その為にはドライバーとアイアンは同じ感覚で振ることが出来なければなりません。
ただし、自分のポテンシャルの範囲内で最大飛距離を得なければなりません。そして、それは「常にクラブの芯で打つ事」「腕の力を正しく使う事」「体の捻転差を利用する事」これらの動きだけで十分に自分自身の最大飛距離を得る事は可能です。
勝つ為に己を知る
自分のポテンシャル以上に飛ばす事にはリスクが伴い、自分の長所さえも失いかねません。試合で勝つ為には、
自分のポテンシャルを知り、自分の長所(ストロングポイント)を知る事です。
稲森プロも青木 プロも自分のポテンシャルとストロングポイントを十分に認識し、
「できない事はやらない」
「自分にしかできない事で勝負する」
という事を徹底した結果、優勝できたのです。